レースに戻りたいとは思っても、F1に未練は感じなかったね

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元F1レーサーのジェンソン・バトンがスーパーGTドライバーになるにあたってのコメントを引用しました:

「たしかにF1は技術的には時代の最先端を行っている。マシンだって乗れば最高に楽しい。楽しくないわけがないんだ。

でも、復帰は考えなかった。レースに戻りたいとは思っても、F1に未練は感じなかったね。今のF1は政治的な駆け引きが多すぎるし、複雑で巨大になりすぎた。ドライバーが素直にレースを楽しめる世界ではなくなってしまったんだ。

だけどスーパーGTは違う。もちろんF1に比べれば、レースはベーシックかもしれない。マシンにはいまだにクラッチがあるし、同僚のドライバーやスタッフとプランを考えたりしながら、必死にチームとして戦っていく。でも、そのベーシックさこそが、かけがえのない魅力なんだよ。

もともと僕がこの世界に足を踏み入れたのは、父にカートを買ってもらったのがきっかけだった。それから週末が来るたびに草レースに親しむようになり、二人三脚で少しずつステップアップしていったんだ。もちろん生活は大変だった。父は車まで売って、資金を出してくれたからね。でもあの頃は本当に楽しかった。スーパーGTは、当時の気持ちを思い出させてくれるんだ」

バトンは、GTのファンもまたF1にはない魅力を感じているはずだと指摘する。

「子供たちが車の絵を描く時には、F1マシンじゃなくてスーパーGTみたいな『スポーツカー』を描く。それは誰にでもわかるカッコ良さ、気持ちを惹きつける魅力があるからさ。しかもレースは抜群に面白い。F1と違ってどのチームが勝ってもおかしくないし、抜きつ抜かれつのシーンも多い。誰もが夢中になるのは当然なんだ」

だが、最も夢中になっているのはバトン本人だろう。それこそ子供のように目を輝かせながら語り続ける姿には、自分の原点に立ち返った無垢な喜びが溢れている。

「今の僕は人生を心から満喫している。そして自分が好きだったものにも、本当に自然体で向き合えるようになった。シーズンの開幕がとにかく待ち遠しいよ。僕自身の新しい章が、ここから始まるんだ」