日本代表が築いてきたアドバンテージが、急速に失われてしまうことに他なりません

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岩渕健輔 ラグビー日本代表GMの言葉です:

しかし今、私が最も強く覚えているのは、充実感などではありません。むしろ大会前よりもはるかに強くなった危機感であり、焦燥感です。2019年までに世界のベスト4入りを果たし、日本大会で優勝を狙うと断言できるようになる。この目標を達成するには、新たな強化のビジョンと具体的な方法論の提示が不可欠です。

たしかに日本代表は、優勝候補の一角である南アにも競り勝ちました。しかし語弊を恐れず言えば、これは日本ラグビー界の「システムの勝利」ではありません。

実際には、ジョーンズHCの下で進めた特殊なチーム作り、少数精鋭を鍛え上げる「タスクフォース型」の強化の成果とみなされるべきでしょう。国内リーグが大幅にレベルアップし、代表を底支えしたわけではないからです。

しかも日本が採用してきた強化モデルは論理的な限界にも達しつつあります。

たとえば昨年、私たちは年間120日ほど代表合宿を行いましたが、選手の拘束期間をこれ以上増やすのは不可能です。

仮にジョーンズHCが残留し、世界一過酷な練習を重ねていったとしても、’19年の日本大会で成績を上積みするのは、難しいと言わざるを得ません。コーチングスタッフの陣容や、強化の方法論が同じままならば、大会で得られる結果も同じになるのは自明の理です。

ましてや日本の強化モデルが世界中で模倣されるのは明らかですし、フィジカルを重視する傾向が一層、顕著になっていくことも予想されます。それは日本代表が築いてきたアドバンテージが、急速に失われてしまうということに他なりません。