銀河英雄伝説1黎明編で気になった部分

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銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)を読んでいて、気になった部分です:

  • そうとも、自分たちの努力で問題を解決せず、どこからか超人なり聖者なりがあらわれて、彼らの苦労を全部ひとりでしょいこんでくれるのをまっていたんだ。そこをルドルフにつけこまれた。いいか、おぼえておくんだ。独裁者は出現させる側により多くの責任がある。積極的に支持しなくても、黙って見ていれば同罪だ……しかしだな、お前、そんなことよりもっと有益なものに関心をもて
  • 要するに、三、四千年前から戦いの本質というものは変化していない。戦場に着くまでは補給が、着いてからは指揮官の質が、勝敗を左右する
  • 敵の心理を読む。用兵のポイントはここにある。そして戦場にあってかんぜんに能力をはっきするには補給が不可欠だ。極端なことをいえば、敵の本隊を撃つ必要はなく、補給さえ断てればよい。戦わずして敵は退かざるをえない。
  • 知将と呼び、猛将と言う。それらの区分をこえて、部下に不敗の信仰をいだかせる指揮官を名将と称するーーとヤンは史書で読んだことがあった。
  • しかしたぶん、そんなことにはならないと思います。少数をもって多数を破るのは、一見、華麗ではありますが、用兵の常道から外れており、戦術ではなく、奇術の範疇に属するものです。それと知らないローエングラハム伯とは思えません。つぎは圧倒的な大軍をひきいて攻めてくるでしょう。
  • 恒久平和なんて人類の歴史上なかった。だから私はそんなもののぞみはしない。だが何十年かの平和でゆたかな時代は存在できた。我々がつぎの世代になにか遺産を託さなくてはならないとするなら、やはり平和がいちばんだ。そして前の世代から手渡された平和を維持するのは、つぎの世代の責任だ。それぞれの世代が、のちの世代への責任を忘れないでいれば、結果として長期間の平和がたもてるだろう。忘れれば先人の遺産は食いつぶされ、人類は一から再出発というということになる。まあ、それもいいけどね。
  • 戦争をする者とさせる者との、この不合理極まる相関関係は、文明発生以来、時代をへてもいささかも改善されていない。むしろ古代の覇王のほうが、陣頭に立ってみずからの身を危険にさらしただけましかもしれず、戦争をさせる者の倫理性は下落するいっぽうとも言えるのである。
  • きみは歴史にくわしいため、権力や武力を軽蔑しているところがある。無理もないが、しかし、どんな国家組織でもその双方から無縁ではいられない。とすれば、それは無能で腐敗した者より、そうでない者の手にゆだねられ、理性と良心にしたがって運用されるべきなのだ。私は軍人だ。あえて政治のことは言うまい。だが軍部内にかぎって言うと、フォーク准将、あの男いかん。
  • ……今日の会議で彼の人柄はあるていどわかっただろう。自分の才能をしめすのに実績ではなく弁舌をもってし、しかも他社をおとしめて自分を偉くみせようとする。自分で思っているほどじつは才能などないのだが……。彼に彼以外の人間の運命をゆだねるのは危険すぎるのだ。
  • とにかく私はこれでも君子のつもりですから、危うきにはちかよりたくないのです。自分の出来る範囲でなにか仕事をやったら、あとはのんびり気楽に暮らしたい―そう思うのは怠け根性なんでしょうか。
  • 私もこれでいろいろと苦労してきたのだ。自分だけ苦労して他人がのんびり気楽に暮らすのをみるのは、愉快な気分じゃない。きみにも才能相応の苦労をしてもらわんと、だいいち、不公平と言うものだ。
  • 補給計画の失敗は戦略的敗退の第一歩だ。これは軍事上の常識だぞ。その責任を前線におしつける気でいやがる。
  • 大言壮語を聞くのに飽きただけだ。貴官は自己の才能をしめすのに、弁舌ではなく実績をもってすべきだろう。他人に命令するようなことが自分にできるかどうか、やってみたらどうだ。
  • このうえは、前線指揮官として、部下の生命にたいする義務を遂行するまでです。お手数をお掛けした。総司令官がお目覚めの節は、よい夢をごらんになれたか、ビュコックが気にしていた、とお伝え願いましょう。
  • 責任の加重はありがたいことではなかった。責任感にも才能にも限度というものがあり、どれだけ期待されても、あるいは強制されても、不可能なことは不可能なのである。

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田中 芳樹
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