オシムがブラジルワールドカップについて
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リスクを冒すのが若さの特権だが、日本はそうしなかった。大会前のいくつかの試合では、機動性に富み高い技術とアグレッシブなプレースタイルで、日本は優れた印象を世界に与えた。何人かの選手は、ブラジルで世界中の注目を浴びてもおかしくなかった。
実際、日本が入ったグループは、突破の可能性に溢れていた。峠を越したコートジボワールよりも、日本はチームとして優れていた。ギリシャ戦も悔やまれる試合だった。ワールドカップ出場を果たし、参加するだけで満足していたギリシャは、絶対に勝つべき相手だった。
勝機は十分にあった。何かを成し遂げるまたとないチャンスだったが、すべてがもう遅い。やるべきことをやらずに終わりを迎えてしまった。出場したすべての選手にとって、一生悔やまれることかもしれない。
試合に負けたのが悲劇ではない。悲劇的なのはチャレンジしなかったこと。客観的に見たときすべてが可能であったのに、敢えてチャレンジしなかったことだ。
Number(ナンバー)860号 日本サッカー再生計画。 (Sports Graphic Number)
posted with amazlet at 14.09.28
文藝春秋
文藝春秋 (2014-09-04)
文藝春秋 (2014-09-04)