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世界の王選手を世界の王監督にしたい。(イチロー)

僕に送りバントのサインが出ると思ったことは一度もなかったけど、自分で送ろうと思ったことはありましたよ。実際二番とはしなかったけど、そういうときは、自分の状態が悪いんです。王シフトをしかれているんだから、レフトの方へゴロを転がしときゃあ、チームにプラスになることをしようって、頭に浮かんじゃう。でもトータルで考えたら、僕がそんなところへ打つよりも自信満々でグラウンドに経って、ガーンと打ったほうが、チームにとってプラスになる。(王監督)

さらに、王監督には失うという発想がないんです。他人が期待して、やってほしいと思うからそれに応えるのであって、”世界の王”と言われていることなんて監督には関係ないんです。それが僕にとっては、王さんの一番の偉大さです。僕なんて失うことが、めちゃ怖いですからね。(イチロー)

あの最後の打席では、『ここで三振ぶっこいて負けたら、ホントにオレの過去は何もかもがなくなるな』って思っていました。監督はそんなこと、考えないんですよ。まったく次元が違うんです。人間としての……僕が去年の WBC で最後にヒットを打って、『おいしいとこだけ頂きました』と発言しましたが、あの状況がおいしいわけがない。王監督は、そのこともわかっているはずです。ああは言ったものの、僕の野球人生、将来も過去も含めて、あれがすべてを打ち消してしまう可能性のある打席であったことを、監督はわかっていた。あれをおいしいところだと思えるのは、恐怖と戦ったことがない人でしょう。(イチロー)

人と争わなくて済むなんて、最高じゃないですか。それって超えた人だけの特権ですから。王監督だって、どう考えても自分に厳しい人だから、そんなことに影響されるわけがないんです。よく、刺激がないんじゃないかとか、寂しいんじゃないかと訊かれますけど、そんなことは、まったくない(笑)。刺激なんて、自分の中から出てくるんですよ。だって、野球が大好きなんですから。ここは間違いなく、王監督と僕の相通じるところだと思います。大好きってみんな簡単に言うけど、そう見えない。楽しそうに見えないんです。(イチロー)

力が抜けることで、人とは違う雰囲気は出るんじゃないかなって。それができれば見てる人は楽しいはずです。『アイツ、次元が違うな』という風に、きっとなる。それが僕の目指すところです。数字に縛られているとギスギスして見えるし、そういう雰囲気は出ない。数字から解放されて初めて、それを出せるようになるんです。もちろん数字ありきです。凄い数字を残せる選手はいても、そんな雰囲気を出せる選手というのは、なかなかいません。

すごいと思わされる人に共通していることって、目線が変わらないことなんです。降りていくという発想がない。人の話をしっかりと聞けるし、どんな人の前でも変わらない。しかも意図的にそうしている訳じゃないんです。自然にそうなっている。すべてが自分の中から湧き出てきているいるんです。それは魅力的ですよ。(イチロー)

礼儀正しさという小さな代償を支払えば、他人の好意という大きな者が手に入る。

下積みをしているときは不幸かもしれない。しかしそれに耐えられないものは幸福を見ることはない。