『天才! 成功する人々の法則』で気になった部分
『天才! 成功する人々の法則』で気になった部分です:
ウルフたちは、健康と心臓発作をコミュニティというまったく新しい視点から見るよう、医学界を説得しなければならなかった。つまり、個人の選択や行動だけに着目していては、その人が健康な理由はわからない。個人を超えた視点が必要だ。個人が属する文化を、その友人や家族が誰かを、そして家族の住む町そのものを理解しなければならない。私たちが暮らす世界の価値観や私たちを取り巻く人々こそが、「私たちが何者であるか」という点に大きな影響を与えているという事実を、医学界は正しく理解すべきなのだ。
本書では、「成功者」に対するこの手の「努力と個人的資質が全てを決める」という考え方が間違っていることを伝えたい。何もないところから身を起こしたものなどいない。誰でも出身と支援者から恩恵を受けている。君主に立ち向かうような人間は、独力で成功をつかんだように見えるかもしれない。だが、実際、そういった人々は必ず隠れた優位展や、特別な機会、文化的な伝統の恩恵を受けており、そのおかげで熱心に学び、仕事に励み、他の人にはできない方法で世界を理解するのだ。そして、育った場所や時代も違いを生む。自分の属する文化と、先祖から受け継いだ伝統が、想像もつかない方法で成功のパターンを方向付けている。言い換えれば、その成功者がどんな人間かと訊ねただけでは十分ではない。成功者たちの出自を訊ねてこそ、成功者とそうでない者の背後に潜む本当の理由が見えてくるのだ。
私たちは、苦もなくトップに登りつめているのは才能ある精鋭たちだと考える。だがホッケー選手の話は、そのような考えが単純すぎることを教えてくれる。もちろん、プロになる選手は、私たちよりもずっと才能に恵まれている。だが、同時に早く生まれた選手は、同じ年齢の仲間たちよりも遙かに有利なスタートを切っている。それは与えられて当然なわけでも、みずから勝ち取ったわけでもない「好機」だ。そしてその好機こそが、選手たちの成功に重要な役割を果たした。
成功に対して私たちが抱いてきた考えがどのような影響を与えるものか、おわかりだろうか?私たちは成功を個人の才能と深く結びつけて考えるあまり、成功者をトップに押し上げた好機の存在を見逃している。私たちの作るルールが成功の邪魔をし、あまりにも早い段階で一部の人を失敗者と見なしてしまう。成功者をあがめ、失敗者を見下す。そして何より、私たちは消極的になっている。成功者とそうでない者を決めるに辺り、私たち、つまり社会が非常に非常に大きな影響を及ぼしているという事実を、みんな見落としているのだ。
- 作者: マルコム・グラッドウェル,勝間和代
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/05/13
- メディア: ハードカバー
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