『数学でつまずくのはなぜか (講談社現代新書)』
Perlの偉い人が紹介していたので、購入。この本が対象とする人はきわめて簡単に見分けられるような気がする。次の文章に興味がわいた人はみんな読むべき!!
数学は、紆余曲折の末作りあげられてきたし、まだ完成からほど遠いものだ。今の数学は、宇宙からそのままの形で降ってきたものではなく、数学者たちが歴史の中で悪戦苦闘して作りあげたものだ。その過程で、失敗も間違いもあったし、遠回りもした。だから、現在の数学にはその傷として「でこぼこ」がまだたくさんあって、それで人は足を取られて転んでしまうのだ。数学につまずいたからといって、それはあなたの落ち度ではない。それは数学に「でこぼこ」があるせいなのだ。けれどその「でこぼこ」は、数学の人間臭さなのだから、あなたはひょいひょいとかわして歩く必要はない。転んだら立ち上がればいいし、何度も転ぶならそこだけ迂回して進めばいいと思う。
こんな感じで、自分みたいな高校まで学んだ数学のことを「きれいに磨き上げられた、完璧な体系」と思いこんでいた人が想定する読者なのではないかなと思う。
一番興味を抱いたのは、「ゲーテルの不完全性定理」のところ。こいつは
ゲーデルの不完全性定理(ゲーデルのふかんぜんせいていり、独語:Go”delsche Unvollsta”ndigkeitssatz、英語: Go”del’s incompleteness theorems)又は単に不完全性定理とは、数学基礎論における重要な定理の一つで、クルト・ゲーデルが1931年に発表したもの。
- 第1不完全性定理
- 自然数論を含む帰納的に記述できる公理系が、ω無矛盾であれば、証明も反証もできない命題が存在する。
- 第2不完全性定理
- 自然数論を含む帰納的に記述できる公理系が、無矛盾であれば、自身の無矛盾性を証明できない。
というやつで、数学的に「ある体系内部には、その体系内部のルールでは説明できない事象が必ず存在する」ということを証明したものであるらしい。数学的な証明が哲学の領域に入ってきてるような気がして、非常に驚いたぜよ。
- 作者: 小島寛之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/01/18
- メディア: 新書
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