疲れたなら、休めばよい。道を間違えたなら、戻ればよい。

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 一部のネット界隈で話題になっている『数学ガール』を買ってみました。表紙はライトノベル風で内容的に大したことがないような印象を

受けますが、そんなことはありませんでした。基本的に私は数学はあまり得意ではないのですが、数学の楽しさをほのぼのと教わった気がします。その点で言え

ば、『博士の愛した数式』に通じるものがあります。こっちは高校生たちの会話がメインなので、より親

しみやすいかも。

 気になったのは以下の点です:

     

  • [memo]
    何だか―小さな懐中電灯を一つ渡されて真っ暗な部屋に投げ込まれたみたいな気分になるんです。懐中電灯で照らせるから、前には進める。でも、そのライトは
    照らす範囲が狭い。自分がどこを歩いているのかわからない。後ろを見れば真っ暗、前を見ても真っ暗。明るいのは、いま照らしている小さな輪の中だけ。本当
    に難しいことならしょうがないんですけれど、式の変形そのものはそんなに難しくない。だから、数学って簡単なのか、難しいのかわからないっていつも感じま
    す。一つ一つは簡単なのに、全体がつかめない。地図がないから迷いそう―とても不安になります。
  • [memo] 学校の世界はとても小さくて狭い。子供向けの偽物がたくさんある。学校の外にも、偽物はたくさんあるけれど、切ったら血が出てくるような本物もたくさんある。
  • [memo]
    好きなことをしっかり追い求めていくと、本物と偽物を見分ける力もついてくる。いつも大声を出している生徒や、賢いふりをする生徒がいる。きっとそういう
    人たちは自己主張が好きで、プライドが大事なんだ。でも、自分の頭を使って考える習慣があって、本物の味わいを知っているなら、そんな自己主張はいらな
    い。大声を出しても漸化式は解けない。賢いふりをしても方程式は解けない。誰からどう思われようと、誰からなんと言われようと、自分で納得するまで考え
    る。それが大事だと僕は思っている。好きなことを追い求め、本物を追い求めていくのが―
  • [memo]
    ……地球上のあちこちで、膨大な時間の中で、数学者たちはさまざまな問題の解を探し求めてきた。何も見つからずに終わることも多いだろう。では、探すこと
    は無駄かな?違う。探さなければ、見つかるかどうか、わからない。やってみなければ、できるかどうか、わからない。……私たちは旅人だ。疲れることはある
    かもしれない。道を間違うことはあるかもしれない。それでも、私たちは旅を続ける…疲れたなら、休めばよい。道を間違えたなら、戻ればよい。――そのすべ
    てが、私たちの旅なんだから。

 

数学ガール
結城 浩

数学ガール
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