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Kazuhiro MUSASHI

Opinions are my own.

『容疑者 室井慎次』

読んでいる人の価値観を相対化するのが小説の条件と保坂和志は考えている、と下のエントリーで書いた。そのように書いているうちに、最近観た『容疑者 室井慎次』でも見ている人の価値観を相対化するような描写が行われていたことに気づいた。 『踊る~』シリーズでは、わくさんと青島刑事といった世代間の交流や、男性と女性といった異なる立場にある人々がどのように感じているのかということを扱った作品であるとも捉えることができる。今回の『室井慎次』でも、田中麗奈演じる新米弁護士と室井さんという世代も性別も異なる二人の価値観というものが同時に提示されていた。「室井さんの過去」(注意:まだ映画を観ていない人は見ない方がいいです!)の捉え方も、二人の間では異なっていた。同じ事態を目の前にしていても捉え方は異なる、という当たり前のことが当たり前のように提示されているというのは注目すべきことなのではないだろうか。エンターテイメント作品だ何だと言われているけれど、「様々な価値観がこの世の中にはあり、世界は複雑なのだ」ということを多くの人に提示しているということだけを見ても、『踊る~』シリーズはもっと評価されてしかるべきではないだろうか。

おとなのひとにいってほしかった24のこと

バイト先からの帰り道、本屋で何気なく見つけたのがこの本。面白そうなので手にとってぱらぱらとめくってみたんだけれど、これは面白い!素朴に語ってはいるものの、酸いも甘いも経験してきたという年月を感じさせるところがいいのではないだろうか。 自分は、Conradなんていう誰に聞いても(含・ネイティブの大学教授)「難しい」としか言われない骨太の作家を専門にしようとしているのだけれど、このConradもまた人生の酸いも甘いも経験してきたような骨太の価値観を元にして語っているのではないだろう?―みたいに思っているので、こういうのは参考になるなぁ、と思った。帆船に乗った船乗りとして、Conradは常に自分の限界に立ち向かっていき、人として成長していったのではないのかなぁ。サン・テグジュペリも次のように言っているし。 The earth teaches us more about ourselves than all the books in the world, because it is resistant to us. Self-discovery comes when man measures himself against an obstacle. To attain it, he needs an implement. He needs a carpenter’s plane, or a plough. Little by little, as he walks behind the plough, the farmer forces out a few of nature’s secrets, and the truth which he uncovers is universal.