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Kazuhiro Musashi

Opinions are my own.

疲れたなら、休めばよい。道を間違えたなら、戻ればよい。

 一部のネット界隈で話題になっている『数学ガール』を買ってみました。表紙はライトノベル風で内容的に大したことがないような印象を

受けますが、そんなことはありませんでした。基本的に私は数学はあまり得意ではないのですが、数学の楽しさをほのぼのと教わった気がします。その点で言え

UNIX Philosophyメモ

 UNIXという考え方―その設計思想と哲学でまとめられていた、UNIXのphilosphyです。メモするだけ。

  1. Small is Beautiful.: 小さいものは、大きいものにはない利点がいくつもある。小さいもの同士なら、簡単に独特の便利な方法で組み合わせることができるというのもその一つだ。
  2. Make each program do one thing well.: 一つのことに集中することで、プログラムに不要な部分をなくせる。不要な部分があると、実行速度が遅くなり、不必要に複雑になり、融通が利かなくなる。
  3. Build a prototype as soon as possible.: あらゆるプロジェクトにおいて、試作は重要だ。一般的に試作は設計全体のうちのほんの一部として扱われているが、UNIXにおいての試作は、効率的な設計には欠かせない重要な一部だ。
  4. Choose portability over efficiency.: UNIXが移植可能なオペレーティングシステムという新境地を開拓したとき、これはすごいニュースだった。現代のソフトウェア設計では、プログラムに移植性があることは当たり前のこととして捉えられている。これは、UNIXの考え方のうち、ほかのシステムにも広く受け入れられている一つの例だ。
  5. Store numerical data in flat ASCII files.: 移植性のあるプログラムは重要だ。しかし、移植性のあるデータも移植性のあるプログラムに勝るとも劣らず重要だ。従来の移植性に関する議論では、データの移植性という視点がいつも無視されてきた。
  6. Use software leverage to your advantage.: 再利用可能なモジュールの重要性について、たいていのプログラマは表面的にしかわかっていない。プログラムの再利用は、ソフトウェアのてこを最大限に活用した強力な考えだ。UNIXの開発者たちは、この考え方に従って、非常に多くのアプリケーションを比較的短期間に開発してきた。
  7. Use shell scripts to increase leverage and portability.: シェルスクリプトは、ソフトウェアのてこを生かすと同時に移植性も高めるという二つの効果がある。可能なときは常に、C言語ではなくシェルスクリプトを使うべきだ。
  8. Avoid captive user interface.: いくつかのコマンドは、「ユーザーを拘束する」インターフェースを持つ。そのコマンドを実行してしまうと、実行中にほかのコマンドを実行することはできない。つまり、そのコマンドの実行中は、ユーザーはそこを離れられなくなってしまう。そのため、この類のものを「拘束的」ユーザーインターフェースと呼ぶ。
  9. Make every program a filter.: ソフトウェアの本質は、データを処理することで、生成することではない。その能力を最大限に発揮するためには、プログラムをフィルタとして動作するように設計すべきだ。

 小さなプログラムを組み合わせて、段階的に成長していくこと・ユーザーは自分が何をしているのかを常に把握していること…これらがUNIXというOSが持ってきた性格みたいです。

『ローマ人の物語 2』

ローマ人の物語 - Wikipedia

 『ローマ人の物語 2』で気になった部分です。文庫版の『ローマ人の物語』は1・2がセットで王政の時代の古代ローマを取り上げています。そして統治システムが王政から共和制へと変わる過渡期を主に扱っています。『ローマ人の物語』についての一般的な説明は左のイメージをクリックしてWikipedia(Japan)に飛んでください。

ローマ人の物語 1より

 現在読んでいる『ローマ人の物語 1』から気になった部分を抜き出してみました。

  • [memo] しかし、阿呆呼ばわりされても王の甥ならば、権力の近くにあって、すべてを冷静に観察する機会に恵まれていたに違いない。情報も豊富であったろう。その彼だからこそ、もはやローマは、効率的ではあっても王になる個人の意向に左右されないではすまない制度は、捨てても良いまでに成長したと判断できたのではないか。改革の主導者とはしばしば、新興の勢力よりも旧勢力の中から生まれるものである。
  • [memo] 戦争は、それがどう遂行され戦後の処理がどのようになされたかを追うことによって、当事者である民族の性格が実によくわかるように出来ている。歴史叙述に戦争の描写が多いのは、人類が相も変わらず戦争という悪から足を洗えないでいるからと言うよりも、戦争が、歴史叙述の、言ってみれば人間叙述の、格好な素材であるからだ。
  • [memo] 知力では、ギリシア人に劣り、体力では、ケルト(ガリア)やゲルマンの人々に劣り、技術力では、エトルリア人に劣り、経済力では、カルタゴ人に劣るのが、自分たちローマ人であると[…]ローマ人自らが認めていた。それなのに、なぜローマ人だけが、あれほどの大をなすことが出来たのか。一代分名犬を築き上げ、それを長期にわたって維持することが出来たのか。[…]あなたも考えて欲しい。「なぜ、ローマ人だけが」と。

ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上)    新潮文庫

これが高倉健という男である

 高倉健が書いたエッセー『旅の途中で』を読みました。高倉健というと俳優というイメージが強いのですが、これを読んで判断する限りエッセイストとしても一流だと思います。

とりあえず印象に残った部分は次の部分:

  • 「ただ毎日毎日、一ミリでも進んでいけば、ジャンプなんかしなくてもいい。誰も助けてくれないなら、自分で一歩一歩進むしかないんですから。人生には苦しいこともあるし、嘘と言いたくなるほど辛いこともある。でも、神様は絶対に無理な宿題は出さない。その人に与えられた宿題はその人自身がクリアできるものなんです。乗り越えようなんて思わなくても、一歩ずつ進んでいけば、いつの間にか乗り越えてしまっている。その時、初めて自分に自信が持てるんだと思います」
  • とはいえ 嫌々ながら仕事をしているのではない 好きとか嫌いとかを尺度にして 仕事をするのではなく やるかやらないかを 問題にするのであって やると決め 引き受けたからには 持てる力を 惜しげもなくつぎ込み 奮闘する 仕事だから 仕事らしい仕事を やってのけようとする それは 観客のためではなく 自分自身のためにすることなのだ 受けるとか 受けないとかは  もちろん気になることだが 最終的には  知ったことではない の一言で蹴飛ばしてしまう
  •  必要に応じて  必要な動きができる男が 減ってきている どうということもないのに  大袈裟に騒ぎ立てる男は うじゃうじゃいる そんなに動かなくてもいいのに 派手に動き回る男が 増えている そんな男に限って  本当に動かなくてはならないときに コソコソと逃げてしまう 格好だけで良いのだ 中身なんてどうでもいいのだ 外側しか見えないさ と彼らは 居直る だが そうではない 人間の中身は ハッキリとスクリーンに映し出されるものだ たとえば 分厚い皮下脂肪のようなカタチで 彼は 必要に応じて 必要な動きができる スクリーンの上だけではなく 私生活でも
  •  三年前にやれなかったことが 今は簡単にやってのけられる そんな男は少ない 流れに身を任せることを知っていて 時には流されもするが しかしそれでも 頭は常に上流に向けられ 両手は のべつ水を掻き  両足は しょっちゅう水を蹴っている つまり エネルギーの配分を冷静に計算しながら 少しでも 前進しようと狙っている 彼は決して遅れない

一番上は高倉健が印象に残ったとして引用している文章です。した三つは、「それが高倉健という男ではないのか」という丸山健二が書いたものを高倉健が引用していて、そこから孫引きしました。

敗者とは負けるのが悪いことだと思っている人である

気になった文句があったので、コピペ:    

敗者とは、負けるのが悪いことだと思っている人だ。彼らは余裕がないので負けられない。そして、どんな犠牲を払っても、負けるのを避けようとする。負ける人の多くは確かなものにしか賭けない。たとえば、仕事による安定とか、固定給とか、保証された年金とか、銀行預金に対する利子といったものだ。敗者が負け続け、勝者が勝ち続ける理由は単純だ。敗北が勝利の一部であることを勝者が知っているからだ。